お墓を建てた後、僧侶の手によって墓または仏壇に魂を入れてもらうことを「開眼法要」もしくは「開眼供養」といいます。新しくお墓を購入した際は必ずこの供養を行うものです。
【納骨法要の流れ(代表的な段取)】
(1)予め、花、燭台、ろうそく、香炉、抹香などの仏具を用意します。詳しくは霊園関係者等に相談しておきます。
(2)一同で墓地に会して、お墓の前で納骨式を行います。
(3)納骨式ではまず業者などに墓の石蓋を開けてもらい、立ち会い人が骨壷を納骨室に納めます。
(4)石蓋を閉じ、卒塔婆がある場合は墓石の後ろに建て、墓前に花や線香、ろうそくを供えます。
(5)僧侶が読経を行います。
(6)参列者全員で順番に焼香して故人の冥福をお祈りします。
※遺族の希望や宗派によって大きく異なる場合もあります。
お墓はいつ建てるのが良い
お墓はいつ建てても良いものです。
生前にお墓を建てる場合は、「寿陵(じゅりょう)」と呼ばれ、昔から縁起の良いこととされています。近年都市部では、残された家族に迷惑をかけたくないという思いから生前にお墓を建てる方が半分以上とも言われています。
また、ご遺骨をお持ちの場合も、お墓を建てて納骨をする期限は特に定められていませんので、気持ちの整理がついてからでも大丈夫です。
ご遺骨が自宅に戻り、四十九日法要を終えた後に、お墓のことを考え始める方が多いようです。
地震や自然災害で壊れたお墓の修理・修繕はどうなるの
大地震等の揺れで墓石が倒れるなどの被害にあった場合、お墓の損壊は家等と同じように、お墓の持主が各自で有償で補修するしかありません。「天災で壊れた場合のお墓の修繕は有償」となるのが一般的です。
そのため、耐震性の高いお墓を作ることが大切で、基礎工事のしっかりした耐震工法を取り入れたお墓を建てることが重要になります。
兄弟姉妹で建てたお墓の名義はどうするのが良い
兄弟でお金を出し合ってお墓を建てる場合、墓石に例えば「山川 太郎・次郎 建立」などと、共同で建てたことを明記することが可能です。
しかし、継承者は原則としてひとりになります。お墓の権利書の名義人はひとりで、連名にすることはできません。継承者はお墓に対する義務や権限を持ちますので、お墓に入れる人を決める権利を持つことになります。
このように兄弟でお墓を建てる場合は、継承者を決める時点で、誰がお墓に入る権利があるかなどの約束事を文書にして残しておくことが重要です。公正証書にしておくと、兄弟共に安心なのではないでしょうか。
会社の経費・費用でお墓は建てられる?
いわゆる会社墓とする場合は、すべて会社の経費で建てることが出来ます。ただし、継承者は会社の代表者であり、代表者が交替する都度、変更の手続きをとる ことになります。また墓碑銘は「○○株式会社」とすることが多くなります。会社に貢献した創業者、社員等が希望すれば合葬できることが多いようです。
また、家代々のお墓や個人のお墓を会社の経費で建てることはできません。
【参考:ご葬儀での会社経費としての扱い】
経費にできる費用
・葬儀費用 ・火葬費用 ・新聞広告費用 ・通知状 ・会葬礼状 ・飲食費用
・会場費用 ・霊柩車・マイクロバスなどの車輌費用 ・お布施料(読経としての費用)
経費にきない費用
・お布施料(戒名としての費用) ・ご遺族からの香典返礼品
・仏壇・仏具購入費用 ・お墓購入費用 ・死亡診断書費用
エンディングノートとは
エンディングノートとは、人生の締めくくる時に備えて、ご自身の人生を整理し、その思いやご希望を、ご家族や大切な方に明確に伝えるためのノートです。
様式は様々で、記入項目も様々なエンディングノートが書店等で市販されています。何を書くのかは自由ですが、次のような内容を記しておくのが一般的です。
(1)自分自身の記録、思い出、(2)いざというときの意思を記す、(3)お葬式・ご葬儀・埋葬などについての希望、(4)お墓・墓地・霊園についての希望、(5)財産に関する事項、連絡してほしい人のアドレス帳、(6)大切な方々へのメッセージ。
【例:記載項目一覧】
・ご遺言のこと ・感謝のメッセージ ・看病・介護と死について ・病院/日常生活
・人生/自分史 ・思い出アルバム ・趣味/好み/こだわり ・葬儀の希望
・埋葬 ・供養 ・不動産 ・住居 ・預貯金 ・株式 ・年金/健康保険/生命保険
・損害/傷害保険 ・税金・ローン ・クレジットカード ・会員退会/会員権手続き
・車 ・ペット ・形見分け/寄付 ・家系図 ・家族/親族リスト ・友人/知人リスト
・関係会社/団体リスト ・ご近所リスト ・記念日リスト
生前準備の目的は
生前準備とは大きな意味で、人生の締めくくり方を考え整理しておくことです。
例えば、ご葬儀について「家族葬にしてほしい」、お墓について「近くにお墓を建てておいたからそこに入りたい」など、自分らしい形を考え、望んでいる方々が増えています。
そこで、ご葬儀・お葬式やお寺やお墓のこと、「自分の望むエンディング」について考え、さらには財産の整理をすることで「残される方々への思いやり」をプラスしたものが、生前準備となります。
実際には、最後の迎え方、ご葬儀のこと、お墓のことを書いたエンディングノート、大切な人達へのメッセージ、財産や身の回りのものなどの相続に関する法律的な準備などが考えられます。
洋型墓石の構成と用語
洋型の墓石は、横長に寝かせた形の西洋風の墓石のことで、背が低い分、和型墓石に比べて地震に強いとされます。芝生墓地などを中心に人気が高まっています。キリスト教式の墓石から派生したものとされていますが、そのデザインや彫刻する文字には厳密な決まりはなく、自由度が高いことも特徴です。
ストレート型
和型で言う棹石(さおいし)部分が垂直に近い形のタイプです。台石は1つ(下台)か2つのもの(中台・下台)が主流です。和型と同様に、家紋を入れたり、花立・香炉水鉢なども付くことがほとんどです。
オルガン型
棹石部分がオルガンのように大きく斜めになっているタイプです。こちらも台石は1つ(下台)か2つのもの(中台・下台)が主流です。和型と同様に、家紋を入れたり、花立・香炉水鉢なども付くことがほとんどです。
和型墓石の構成と用語
よく墓所で見られる一般的な和型墓石は、3~4段の角碑型の墓石で、江戸時代中期以降、日本全国に広く普及してきたものです。
4段型の場合、上から棹石(さおいし)、上台石、中台石、下台石という構成になっており、棹石が「天」、上台石が「人」、下台石が「地」を表していると言われています。
これら石塔の他に墓石に備わるものとして、生花を立てる「花立(はなたて)」、左右の花立の間にあることが多い、お水を入れておく「水鉢(みずばち)」、お線香用の「香炉(こうろ)」、そして香炉の下に配される、納骨堂の蓋石「拝石(はいせき)」などがあります。
また、墓石の周囲を構成する、外柵石の各部材は、多種多様になりますのでお墓を建てる際に確認、検討しましょう。
お墓の種類 寺院境内墓地・民営霊園・公営霊園
寺院境内墓地(寺院墓地)
お寺・寺院が管理している墓地のことで、管理するお寺の境内にあります。日常お付き合いのあるお寺で供養をお願いすることが出来るなど、寺社管理ならではのよさが魅力です。
寺院境内墓地でお墓を建てることは、ほぼそのままそのお寺の檀家になることになります。予めお寺の年中行事などについてもよく確認しておきましょう。
民営霊園
宗教法人が運営し、民間会社が管理委託を受けている場合がほとんどです。宗教・宗派を問わずに申し込みができ、生前にお墓を建てられる等、公営霊園に比べて契約に関する制限は少ないことも魅力です。
費用については墓地により様々ですが、都心では公営霊園とほぼ変わらない価格であることも少なくありません。
公営墓地
自治体が管理・運営する墓地で、経営・管理面での安心感が高いことが魅力です。申し込みは抽選がほとんどで、都道府県や市町村役場が行います。宗教的な制約がないことも利点の一つです。ただし、ご遺骨がないと申し込みできない等の制限も多いことが難点です。
契約に関する条件については、各自治体ごとに異なりますから、事前に確認しておきましょう。